○用地事務取扱要領

昭和55年5月9日

要領第1号

第1章 総則

(目的)

第1条 この要領は,浅川町の公共事業(以下「事業」という。)の施行に必要な土地の取得又は使用及びこれに伴い生ずる損失の補償並びに登記等の事務手続の準則を定め,用地事務を適正かつ合理的に処理することを目的とする。

(適用の範囲)

第2条 浅川町の用地事務の取扱いに関しては,法令その他特別の定めのある場合を除き,この要領の定めるところによるものとする。

(定義)

第3条 この要領において「土地等」「土地等の取得」「土地等の使用」「土地等の権利者」及び「権利」とは,「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和38年建設省訓令第5号。以下「基準」という。)第2条に規定されている定義と同義とする。

(用地事務の先行)

第4条 土地等の取得又は土地等の使用(以下「土地等の取得」という。)に伴う損失の補償の契約は,当該土地等を必要とする工事の着工前に締結し,その補償金の支払いは,工事の着工前に完了するように努めるものとする。

(用地日誌)

第5条 浅川町用地担当職員(以下「職員」という。)は,この要領で定める説明,調査及び交渉等を行い,事業のための用地を取得し,第3章で規定する補償金の支払いが完了するまでの経過を用地取得日誌(様式第1号)に記載し,関係する調査票及び図面等がある場合にはそれらを添えて協議等を行つた都度,町長に報告するものとする。

(指示)

第6条 課長は,前条の報告があつたときは,次に行う事務処理について指示するものとする。

(連絡調整)

第7条 課長は,用地事務の取扱いについて関係機関と連絡を密にし,用地事務を円滑に進めるとともに調整を図るものとする。

(用地事務計画の樹立)

第8条 課長は,年度当初における当該年度の事業のための用地事務の計画を樹て,用地取得計画書(様式第2号)を作成して6月30日までに町長に提出するものとする。

2 前項の用地事務の計画の樹立後,事業の変更又は新規事業のために用地事務の計画に変更が生じた場合は,前項に準じ9月31日及び12月31日現在で用地取得計画書を作成してそれぞれ提出するものとする。

第2章 調査

(通知及び立会)

第9条 町長は,土地等の踏査,調査又は測量(委託する場合を含む。)を行う際必要に応じ土地等の権利者の立会を求めるものとする。

(立入の同意)

第10条 職員は,事業に必要な土地等の調査及び測量のため他人の占有する土地及び当該土地にある建物等に立ち入るときは,あらかじめ当該占有者の同意を得るものとする。

(障害物の伐除及び土地の試掘等)

第11条 町長は,事業用地等の調査及び測量を行うのに障害物を伐除し又は試掘等を必要とするときは,当該障害物の所有者又は占有者の同意を得るものとする。

(身分証明書の携帯)

第12条 職員は,他人の占有する土地及び当該土地にある建物等に立ち入るときは,その身分を証する証明書を携帯し,土地等の権利者から身分を証する書面の提示の請求があつたときは,その証明書を提示するものとする。

(土地等の権利者の把握)

第13条 職員は,法務局,浅川町役場備え付けの公簿及び農業委員会又は関係人等から取得しようとする土地等の権利者を把握するものとする。

(測量)

第14条 課長は,事業の施行に必要な土地等についての一筆ごとの測量を行い丈量図を作成するものとする。

2 前項の測量に当つては,土地等の権利者の立会いのもとに前条により調査把握した事項と照合しながら行うものとする。この場合,取得しようとする土地のみの測量に限らず,取得しようとする土地の残地及び取得しようとする土地並びに残地上にある建物その他の工作物もあわせて測量するものとする。

(現地踏査)

第15条 課長は,前条により作成した丈量図により,すみやかに現地を踏査し,当該事業にかかる用地事務の執行計画を樹てるものとする。

(戸籍簿等の調査)

第16条 職員は,土地等の権利者の身分等を戸籍簿,戸籍の付票,除籍簿又は住民票(法人にあつては法務局の法人登記簿)により調査するものとする。

(近傍類地の調査)

第17条 職員は,取得しようとする土地の近傍類地についての取引事例及び最近取得した公共用地について調査し,その取引事例の固定資産評価額等を調査するものとする。

(土地の調査)

第18条 職員は,土地等の取得又は使用に伴い消滅又は制限を必要とする土地の所有権以外の権利があるとき若しくは価格の低下及び利用価値の減少等の損失を生ずる残地等があるときは,その状況をあわせて次条以下の調査を同時に行うものとする。

(建物等の調査)

第19条 職員は,取得しようとする土地に建物があるときは,現況等を調査し,当該建物の移転等に伴い生ずる損失等の状況を把握するものとする。

(建物以外の工作物)

第20条 職員は,取得しようとする土地に建物以外の工作物があるときは,その状況を把握するものとする。

(立木類の調査)

第21条 職員は,取得しようとする土地に立木類があるときは,その状況を把握するものとする。

(営業損失等の調査)

第22条 職員は,取得しようとする土地に営業用の建物等があり,当該建物等の移転等により営業上の損失が生ずると予想されるときは,営業状況等を調査及び聴取するとともに営業成績等について関係官公署等で調査を行い,その内容を把握するものとする。

(農業損失等の調査)

第23条 職員は,取得しようとする土地が農地であつて営農上の損失が生ずると予想されるときは,営農状況等を調査及び聴取するとともに営農成績等について関係官公署等で調査を行いその内容を把握するものとする。

(その他の損失の調査)

第24条 職員は,取得しようとする土地について前条までの調査以外にその他の損失が生ずると予想されるときは,それぞれの内容を把握するものとする。

(通常生ずる損失の調査)

第25条 職員は,取得しようとする土地について前条までの調査の際には,土地等の権利者に通常生ずる損失が生ずるときは,これらの損失に関する調査をあわせて行うものとする。

(特殊建築物等の調査)

第26条 取得しようとする土地及び特殊な建築物等については,必要に応じ調査を委託し又は不動産鑑定士の鑑定評価を依頼することができるものとする。

第3章 契約及び補償等

(補償額の算定)

第27条 職員は前章に定める調査が完了したときは,「基準」及び福島県が定める「公共事業」の施行に伴う損失補償基準細則(昭和44年4月1日実施)により補償額を算定するものとする。

(設計書の作成)

第28条 職員は,補償額の算定後,その内容を課長に協議のうえ別に定める用地に関する設計書様式により設計書を作成し,町長が決定する。

(説明会)

第29条 町長は,設計の決定後すみやかに土地等の権利者に対し,当該事業の目的及び内容等について工事及び用地の両面から説明し協力を得るものとする。

(交渉)

第30条 職員は,決定になつた設計書に基づきすみやかに土地等の権利者に補償額を明示して交渉を行うものとする。

(土地等の権利者に対する説明)

第31条 前条の交渉にあたつては,事業の施行計画,当該地区の選定理由及び事業の公益性を説明し,取得しようとする土地の必要性,土地に対する補償額及びその他の補償額の算定内容を具体的に説明するものとする。

(契約の締結)

第32条 町長は,用地交渉で協議が成立したときは,次の各号に掲げる書類のうち関係する書類に土地等の権利者の署名押印を求め、契約を締結するものとする。

(1) 土地売買契約書

(2) 登記承諾書及び印鑑証明書並びに委任状

(3) 権利消滅契約書

(4) 借家人(間借人)補償契約書

(5) 物件移転契約書

(6) 土地使用契約書

2 前項の契約の締結は,土地等の権利者からそれぞれの契約書に署名押印を受けた後,すみやかに行うものとする。

(契約者が無能力者又は不在等の場合)

第33条 契約しようとする者が,未成年,禁治産業,準禁治産者,共同相続者及び不存在等の場合は,民法(明治29年法律第89号)等の規定に随い,当該契約が無効又は未締結となることのないよう所定の手続きを取るものとする。

2 取得しようとする土地が共有地であるとき又は漁業権等の権利消滅等であつて,当該共有者等の全員を相手として契約することが困難な場合は,共有者の一部の者に対して他の者から委任状を提出させ,さらに第32条第1項各号に掲げる書類に代理人たることを表示させて,当該代理人に署名押印させるとともに他の者からの委任状を添付させ契約を締結するものとする。

(補償金の支払)

第34条 売買契約等を締結したものの補償金の支払は,浅川町財務規則(昭和38年規則第6号)及び浅川町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例(昭和39年条例第16号)によるほか,次の各号に定めるところによる。

(1) 土地に対する補償金の支払は,売買契約を締結した後すみやかに行うものとする。

(2) 建物又は物件の移転等に対する補償金の支払は,移転契約を締結し,当該建物又は物件等の移転完了後すみやかに行うものとする。ただし,町長が前金払をする必要があると認めたときは,補償額の5割を限度として支払うことができる。

(買取り等の申出証明書)

第35条 町長は,事業のために取得しようとする土地等の買取り等を土地等の権利者に申出したときは,公共用事業資産の買取り等の申出証明書を土地等の権利者及び取得しようとする土地等の権利者の居住地を所轄する税務署長に買取り等の申出をした翌月の10日までに送付するものとする。

(買取り等の証明書)

第36条 町長は,土地売買契約等を締結したときは,それぞれの契約の締結年月日をもつて,公共事業用資産の買取り等の証明書を契約の相手方に送付するものとする。

第4章 土地等の収用

(土地の立入通知)

第37条 町長は,事業のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を必要とするときで,占有者の同意を得ることができない場合は,土地立入通知書及び立入区域を表示した図面を作成し,土地収用法(昭和26年法律第219号)第11条第1項ただし書きの規定により知事に通知した後,土地収用法第12条の規定による手続をし,土地に立ち入るものとする。

(あつ旋の申請)

第38条 町長は,土地収用法第15条の2の規定により知事にあつ旋の申請をしようとするときは,あつ旋申請書を作成し行うものとする。

(事業認定の申請)

第39条 町長は,事業実施の説明及び土地等の権利者との協議等から判断し,土地等の取得を事業計画年度内に任意協議で成立させることが困難である場合は,事業認定申請書及び関係書類を作成し,土地収用法第16条の規定による事業の認定の申請をし,事業認定を受けるものとする。

2 第1項の事業の認定の申請は,次の各号の一に該当するときは必要としない。

(1) 公共用地の取得に関する特別措置法(昭和36年法律第150号)第7条の規定により特定公共事業の認定を受けた事業

(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第59条第1項の規定により都市計画事業の認可を受けた事業

(補償等についての周知措置)

第40条 町長は,事業の認定又は都市計画事業の決定の通知を受けたときに土地等の権利者と任意協議が成立していないときは,土地収用法第28条の2の規定により協議の成立しない土地等の権利者に対し,補償その他建設省令で定める事項について周知するものとする。

(土地調書の作成)

第41条 町長は,補償等の周知措置をとつた後,取得しようとする土地の所有者又はその土地に関して権利を有する関係人から裁決申請の請求があつたとき又は自ら裁決の申請をしようとするときは,土地収用法第36条の規定により土地調書を作成しなければならない。

(裁決の申請)

第42条 町長は,土地調書を作成した後裁決申請書及び関係書類を作成し,裁決申請をしようとする土地の所有者又はその土地に関して権利を有する関係人から裁決申請の請求があつたときは,その請求のあつた日から2週間以内に裁決申請書を福島県収用委員会に提出しなければならない。

(見積補償金の支払)

第43条 町長は,裁決申請の請求とあわせて又は裁決申請の後に,裁決申請にかかる土地の所有者又はその土地に関して権利を有する関係人から補償金の支払請求があつたときは,その請求の日から2カ月以内に見積り補償金を支払わなければならない。ただし,福島県収用委員会が裁決手続開始の登記をしていないときはその登記後1週間以内に支払いをするものとする。

2 町長は,権利取得裁決が下される前に見積補償金の支払いをした旨福島県収用委員会に通知しなければならない。

(物件調書の作成)

第44条 町長は,明渡裁決の申立をしようとするときは,土地収用法第36条の規定により物件調書を作成しなければならない。

(明渡裁決の申立)

第45条 町長は,物件調書を作成した後,明渡裁決申立書及びその関係書類を作成し,裁決申請とあわせて又は裁決申請後すみやかに明渡裁決の申立をするものとする。

(代理人の指定)

第46条 町長は,収用委員会の審理に出席させるものを決定し,代理人指定書を作成して収用委員会に提出しなければならない。

(裁決による補償金の支払)

第47条 町長は,権利取得裁決及び明渡裁決にかかる補償金の支払いは,それぞれの裁決にしたがつて行うものとする。

(国有農地等)

第48条 町長は,事業のために必要な土地が,農地法(昭和27年法律第229号)で規定する国有農地であるときは,買収する以前に次の各号に掲げる手続をしなければならない。

(1) 農地法第78条で規定する国有農地の場合は,同法第20条の規定により耕作権者等に耕作権等の解約許可申請をさせるとともに次に列記する書類を作成し,所轄の農業委員会を経由して農林省所管国有財産部局長(知事)に提出し転用貸付を受けること。

 国有農地等転用借受申込書

 国有財産の表示

 転用計画書

 農収令書

 土地登記簿抄本

 位置図

 土地所在図

 実測図及び面積計算書

 設計図書

 予算書

 農地法第20条第1項の規定による許可申請書の写

 予約書(旧所有者又は一般承継人との賃貸借及び売買予約書又は権利放棄の約定書)

 その他の関係書類

(2) 農地法第44条で規定する国有未懇地の場合は,次に列記する書類を作成し,所轄の農業委員会を経由して農林大臣に提出し開拓財産の用途外貸付を受けること。

 開拓財産用途外借受申請書

 前号に列記した書類に準ずる書類

 当該土地の権利設定者の同意書

 その他の関係書類

(3) 農地法第73条で規定する農地(国から売渡しを受けて8年を経過しない農地)の場合は、売渡人と連署した次に列記する書類を作成し、所轄の農業委員会を経由して農林大臣に提出し、所有権移転の許可を受けること。

 所有権移転許可申請書

 第1号に列記した書類に準ずる書類

 その他の関係書類

2 町長は,前項の手続きにより転用借受け又は用途外借受けした土地にかかる工事が竣功したときは,農地法第80条第1項の規定による売払うべき土地としての認定資料として竣功届に竣功写真を添付し,所轄の農業委員会を経由して農林大臣に提出しなければならない。

3 町長は,前項の手続後,認定の通知があつたときは,次の各号に掲げる者からそれぞれの土地を取得するものとする。

(1) 売買予約の場合は,国より売払いを受けた旧所有者又は一般承継人から

(2) 権利放棄の約定の場合は,国有財産買受申込書に権利放棄の約定書を添付し直接国に申込み国から

4 町長は,第1項第3号の所有権移転の許可があつたときは,売渡人からその土地を取得するものとする。

5 第1項の手続きに必要とする申請書等は,所轄の農業委員会から譲り受けるものとする。

(国有林野)

第49条 町長は,事業のために必要な土地が国有林野であるときは,国有林野貸付(使用)申請書に当該国有林野の位置図及び実測図を添付して所轄営林署長に提出し貸付(使用)を受けなければならない。

(保安林の解除)

第50条 町長は,事業のために必要とする土地が国有保安林であるときは,国有保安林の解除に関する知事の意見書の交付願を所轄林業事務所を経由し知事に提出し意見書の交付を受け,国有林野貸付申請書にこの意見書及び関係書類を添付し所轄営林署を経由して農林大臣に提出し貸付を受けなければならない。

2 町長は,事業のために必要とする土地が民有保安林であるときは,保安林解除申請書に次の各号に掲げる書類を添付し,所轄林業事務所を経由して,森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項第1号から第3号までの保安林の場合には農林大臣に,同条同項第4号から第11号までの保安林の場合は知事に提出し保安林の解除を受けなければならない。

(1) 解除図

(2) 申請者の資格を証する書類

(登記簿謄本又は売買(賃貸)契約書の写)

(3) 5万分の1の位置図

(4) 現地写真

(5) 用地計画書及び図面

(6) 事業計画書及び図面

(7) 保全計画書及び図面

(8) 市町村長及び土地所有者の同意書

(9) 他の法令による許認可の必要のあるものは,許認可書又は申請書の写

第5章 登記

(登記の時期)

第51条 町長は,土地の売買契約を締結し,土地を取得したときは,すみやかに登記を行うものとする。

(支払と登記)

第52条 町長は,土地の売買契約の締結に基づき補償金を支払う前に登記を完了するように努めなければならない。特にやむを得ないと認めたときはこの限りでない。

(直接登記)

第53条 町長は,職員に登記事務を行わせるものとする。

(委託)

第54条 町長は,登記事務を委託して行わせることができる。

(潰地台帳等)

第55条 町長は,事業のために取得した土地の登記状況を明確にしておくために潰地台帳を備えて潰地の発生時及び登記完了時等に記載し,保存するものとする。

2 町長は,所有権移転登記が完了するまではその土地に係る登記承諾書,土地売買契約書及び用地関係計画書(丈量図等を含む。)を保存するものとする。

この要領は,公布の日から施行する。

(平成19年要領第1号)

この要領は,平成19年4月1日から施行する。

(令和6年訓令第7号)

この要領は,令和6年4月1日から施行する。

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用地事務取扱要領

昭和55年5月9日 要領第1号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第10編 設/第1章 土木・建築
沿革情報
昭和55年5月9日 要領第1号
平成19年3月26日 要領第1号
令和6年3月29日 訓令第7号